直葬・火葬式について。費用の相場、直葬を選ぶ理由とは?

2018年3月9日

直葬は近年になって話題となったお別れのかたちです。宗教的な儀式などを省き、火葬をメインとしたものです。以前から、経済的に余裕がなく葬儀が挙げられないという方向けに行われていましたが、マスコミなどでも取り上げされるようになり、広く知られるようになりました。火葬式とも呼ばれます。

ここでは直葬について、費用やそのメリットとデメリット、直葬を選ぶ理由、直葬の場合の香典などについてご説明します。

直葬とは、通夜や告別式を行わず、僧侶をはじめとした宗教者による、読経などの宗教儀式を省いたお別れのかたちです。

「ちょくそう」または「じきそう」と読みます。通夜や告別式を行わないため、亡くなるとすぐに火葬となることから、火葬式と呼ばれる場合もあります。

同様の葬儀は、経済的に余裕のない方などのために、以前から行われていたものですが、近年になって「直葬」といった名称で呼ばれるようになり、それと共に話題となりました。

直葬・火葬式の費用相場

直葬の費用の目安は15万~25万円程度。
直葬プランを用意している葬儀社もあります。

直葬は、他の葬儀よりも費用が抑えられるのが大きな特徴です。一般葬にかかる葬儀費用の目安は、70万〜180万円程度。家族葬にかかる葬儀費用の目安は、30万〜80万円程度。一日葬にかかる葬儀費用の目安は、25万〜50万円程度です。
これに対して直葬は、火葬料金や遺体を運ぶ搬送費、棺や骨壷、位牌など、必要最低限の物品やサービスしか必要としないことが多いため、費用の目安は15万〜25万円程度と、最も低く抑えられます。
直葬プランというかたちで、定額のセットプランを用意している葬儀社もあります。

直葬・火葬式の流れ

直葬であってもすぐに火葬はできません。安置は必要です。
安置施設によっては面会ができるところ、できないところがあります。

直葬は、通夜や告別式を行わないため、故人が亡くなったら医師に死亡診断書を書いてもらい、死亡届を提出し、火葬許可書を受け取ってから、火葬になります。
法律で死後24時間は火葬できないことが定められているので、直葬を選択したからと言ってすぐに火葬はできません。病院で亡くなった場合、自宅または斎場、安置所など遺体を安置できる施設まで搬送し、安置します。
直葬の流れは以下のようになります。

*東京近郊の例です。お葬式の流れは地域によっても異なります。詳細は葬儀社の担当者にご確認ください。

>>都道府県別 全国のお葬式のしきたりはこちら

直葬であっても参列者に案内してはいけないわけではありません。ご家族などごく限られた人数でお別れを行います。安置施設によっては面会ができない。または、面会ができても面会時間が限られている場合もあります。安置施設を選ぶ際には事前に確認しましょう。

直葬・火葬式のメリットとデメリット

直葬・火葬式のメリットほかの葬儀より簡潔で時間がかからない点があります。
デメリットには、故人の死を知らされなかった方が気分を害してしまう恐れもあります。

費用が安いといわれる直葬・火葬式ですが、反面、問題もあります。どのようなメリット・デメリットがあるのかをご説明します。

直葬・火葬式のメリット

直葬は、葬儀費用が抑えられるという特徴がありますが、この他に、短時間で終わるというメリットもあります。

参列者数が平均6〜7人と少なく、故人とのお別れは火葬炉の前や火葬場の別室などで簡潔に行われるため、ほかの葬儀よりも時間がかかりません。

 

また、参列者の多い一般葬では、喪主や喪家の立場になると、堅苦しい挨拶をしたり、宗教者や会葬者に気を遣わなくてはいけません。葬儀後も、香典返しの手配や、手伝ってくれた方への挨拶回りなどの対応に追われることもしばしば。そのため多くの場合、故人が亡くなった瞬間から、葬儀が終わるまではバタバタと慌ただしいといったことがあります。
その点、直葬の場合は家族や親族など、ごく限られた参列者のみで簡潔に行われるので、宗教者や会葬者に気を遣う必要はありません。

直葬・火葬式のデメリット

葬儀には遺体処理、社会的処理、心理的処理の3つの役割があります*。

葬儀の3つの意味や役割のうち、直葬が担っているのは、1つめの遺体処理のみです。
通夜や告別式がなく、僧侶などの宗教者が不在で、参列者も最小限という直葬は、葬儀が持つ多くの意味や役割を担っていないからこそ、時間を短縮し、費用を抑えるということが可能になります。
一方で、直葬にはこれまで葬儀が担ってきた意味や役割の、2つめの社会的処理や、3つめの心理的処理が欠けているため、新たな問題が生じることがあります。

葬儀の意味と役割について

遺体処理

遺体を放置せず、適切な期間の間に手続きを行い、火葬や土葬といった物理的な処理をすること。

 

社会的処理

故人の死を、親族や近所の人、会社の人など、社会に知らせるということ。死亡届の提出などといった行政手続きを行い、社会から存在自体をなくすことも含まれます。

 

心理的処理

家族や親族、友人知人など、故人と深く関わりのあった人たちが、故人の「死を受け入れる」ということ。葬儀という儀式を設けることで、故人は「もうこの世にはいない」という現実を受け入れる気持ちの区切りとなります。

*葬儀の意味や役割については上記の3つのほか、宗教的な意味を加えて4つ、または社会的な意味を細分化して5つ意味や役割があるなど、諸説あります。

直葬によって生じる可能性のあるトラブル

社会的処理に関するトラブル

直葬後に故人の友人や知人、呼ばれなかった親族などが故人の死を知り、気分を害してしまう場合や、「葬儀に参列できなかったので、お別れを言いたい」「お世話になったので、線香をあげさせてほしい」など、弔意を持った客が自宅を訪れることがあります
費用や時間、手間を抑え、参列者への対応の煩わしさを軽減するために選んだ直葬なのに、却って対応が大変になるケースが増えています。

 

心理的処理に関するトラブル

参列者や宗教者に気兼ねなく故人の死と向き合うために直葬を選んだとしても、実際は遺体の腐敗などの時間的問題があるので、充分に内容を検討することは難しく、結局満足に故人と向き合う時間が取れないまま、慌ただしく終えることがほとんどです。
そのため、しばらくしてようやく故人の死と向き合い、葬儀を振り返る心の余裕ができると、「本当に直葬で良かったのか」と罪悪感や後悔に苛まれる人も少なくありません。

このほか、事前に葬儀社との打ち合わせが行われなかったため、火葬場に喪主が平服で行ってしまい、きちんと喪服を着てきた親せきの手前「恥をかいた」といったトラブルも発生しているようです。
簡易的なものであっても、大切なお別れの場です。後々のトラブルを防ぐためにも、事前の準備、特に葬儀社との打ち合わせはきちんと行っておくことをお勧めします。

直葬・火葬式の場合のお香典は

直葬は、限られた人しか参列しません。そのため香典返しは不要と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、火葬のみであってもお香典を持参される方もいらっしゃいます。香典返しの準備は、前もって必要です。
また、直葬なので香典は受け取らないというケースもあります。この場合、事前に「お香典は辞退する」ことを伝えておきましょう。
ただ、後日、弔問客が来ることが事前に分かっている場合は、お供え物などを渡されることがありますので、返礼品の準備をしておいたほうが良いでしょう。
数量など、不明な点は葬儀社の担当者に確認しましょう。

故人の遺志で直葬にすべき?周囲への建前を気にするべき?

直葬などの、参列者が限られた小規模な葬儀が増えてきたのは、ここ10〜15年のことです。新しい葬儀だからこそ、思いもよらない問題やトラブルが発生することもあります。
家族や親族の中には、「火葬だけで済ますなんて」と批判的な意見を持つ人がいるかもしれません。トラブルにならないためにも、家族や親族とよく話し合い、理解を得ることは重要です。

たとえ直葬が故人の希望だったとしても、経済的な事情でなければ、故人の交友関係や、葬儀の意味や役割などを踏まえ、慎重に検討することが大切です。
また、菩提寺がある場合は、事前に相談しておいたほうが良いでしょう。

今後は直葬・火葬式が主流になる?

一般葬や家族葬、一日葬などほかの葬儀の種類と比べてみると、とても簡易的なお別れであることがわかります。

直葬・火葬式は家族葬や一日葬などと比べても簡易的なお別れです。
直葬の後にお別れ会を行うというケースも現れています。

直葬・火葬式以外の葬儀の種類と特徴

一般葬

近親者や友人だけでなく、近所の人や故人の会社関係者などに告知して、多くの人に参列してもらう葬儀。通夜や告別式を行い、僧侶をはじめとした宗教者立ち会いのもと行われるのが通例です。

家族葬

家族や親族、ごく親しい友人など、限られた参列者のみで行われる葬儀。通夜や告別式を行い、僧侶をはじめとした宗教者立ち会いのもと行われるのが通例です。

>>家族葬について詳しくみる

一日葬

通夜を行わず、告別式と火葬だけを行う葬儀。家族葬と同様、家族や親族、ごく親しい友人など、限られた参列者のみで行われる場合が多いです。

直葬・火葬式を選ぶ人の増加

直葬は、もともとは生活が困窮している人がやむなく選択する葬儀でした。しかし近年、経済的な理由とは関係なく、「葬儀そのものにお金をかけたくない」という人が現れてきました。
少子高齢化などの社会構造の変化を背景に、一人暮らしで「家族や親戚がいない」という人や、「自分の葬儀費用のために家族に負担をかけたくない」と考える人も増えており、生前から直葬を希望し、遺言として遺している人も見られます。
また、過去に一般的な葬儀を経験し、それに対する不満や反省から、直葬を選ぶケースもあるようです。

直葬・火葬式でも葬儀社に依頼しないといけないの?

直葬・火葬式は、通常の葬儀に比べて安価です。祭壇等の飾り付けなども不要なため、葬儀社の助けを借りることなく、執り行うことも可能なように思えます。そうすればさらに、費用を抑えることができるように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際には直葬の場合においても、亡くなった場所からの搬送、納棺、安置、死亡診断書の 提出と火葬埋葬許可書の取得、火葬が必要です。

これらの業務をスムーズに執り行うためにも葬儀社への依頼は必要になりますし、同時にある程度の費用は必ずかかります。

直葬の欠点を補う新しいサービスとしての「お別れ会」

直葬を選択することで、故人に縁のある人が葬儀に参列できなかったことを悔やんで後から弔問に訪れたり、「あんな送り方で良かったのか」と後悔する遺族も少なくありません。
そういった直葬の欠点である、遺族や関係者たちの「故人を偲び足りない」問題を解決するために、「お別れ会」という新しいサービスも登場しています。

お別れ会とは

細かい段取りや礼儀作法などで凝り固まった葬儀と違い、「故人や家族が何がしたいか」「故人はどんな人だったか」をベースに内容が組み立てられる「故人を偲ぶための会」。
葬儀を終えて、遺族の気持ちの整理が終わる、四十九日や一周期のタイミングに行う場合が多いため、打ち合わせには十分な時間がかけられるのも大きなメリットです。

お別れ会の成り立ち

1994年にホテルオークラ東京(東京都港区)が開いた、「故人を送る会」が始まりだといわれています。当初は会社の役員や芸能人など、著名人が開くものとして広まりましたが、2010年頃には「お別れ会」をプロデュースする葬儀社や企業が、全国各地で見られるまでに一般化しました。
最近は、故人が勤めていた会社の同僚や部下、趣味の教室・サークルの生徒や仲間など、家族や親族より外側の故人の関係者たちから、「『お別れ会』を開いてもいいですか?」と家族に問い合わせが入るケースが見られるほど、「お別れ会」や「偲ぶことの大切さ」は、社会に浸透してきているようです。

>>お別れ会を詳しくみる

まとめ 大切なのは送る人の気持ち

直葬という言葉は、通夜や告別式を行わず、僧侶など宗教者による読経などの宗教儀式を省いた葬儀形式をあらわしますが、その内容はとても流動的です。
故人が亡くなった後、安置している間に湯灌もできますし、火葬炉の前で僧侶による読経や献花などを行うことも可能です。火葬している1時間ほどの間に、食事の場を設けるケースも少なくありません。直葬だからといって、参列者に上限はないですし、宗教者を呼んではいけないという決まりもありません。

葬儀は大切な人との最後のお別れ。一番大切なのは、遺された人、送る人の気持ちです。
「あんな送り方で良かったのかな」「もっとしてあげられることはなかったかな」と後悔しないように、しっかりと考えて葬儀を選びたいですね。

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