突然ですが、先日、式場でこんなことがありました。
ご参列の方のお数珠の糸が切れてしまい、玉が床に散乱。ご一緒に拾って差し上げたところ、「なんだか縁起が悪いわ。不吉な予兆かしら…」とたいへん心配されていました。
お数珠の糸が切れてしまうことは不吉な予兆?
その方があまりに心配されていたので、読経をあげて下さったご住職にお聞きしたところ、「本来、数珠は念仏を唱える修行で使われたものだから心配には及ばない。むしろ、ご参列されたことで故人が悪いものを断ち切って下さったのだと思いなさい」と教えてくださいました。
そこで、今回は仏式のお葬式では必需品の「お数珠」について触れておきます。
お葬式にはお数珠は持っていくのは当たり前と分かっていても本来の使い方やお手入れなど案外知らないことばかり。
前述にもあるように、お数珠は本来はお念仏を読む回数を記憶するためのもの。一方、仏教が伝わったインドでは(諸説ありますが)心臓に近い左手から悪魔が入って魂を抜かれないよう「魔除け」として使われたという説もあります。
珠の数は煩悩の数
日本にお数珠が入ってきたのは鎌倉時代といわれています。
宗派によって、数珠の種類、数珠のかけ方も違いますが基本、珠の数は煩悩を表す108つとされています。今では、略式型が増え、玉の数は半分の54玉などが主流になっています。
ちなみに最高級の数珠は琥珀(こはく)使用で20万円以上するものもあります。水晶も高級品ですよね。一般的には5,000円以下のものが売れ筋のようです。
最近では、「お守り」としてアクセサリー感覚のブレスレット型も登場していて、オシャレ感覚で身に着けている女性を街で多く見かけます。
数珠の手入れの方法は?
最後にお数珠のお手入れについて。
「お葬式の時だけしか使わないから…」とお手入れしていない方が多いようです。夏は特に汗をかきますので、使った後は柔らかい布で汗やホコリをふき取りましょう。お数珠を身に着けることは、魔除けや厄除けの意味合いもあります。
今からでも遅くはありません!しまいっぱなしのお数珠を出して感謝をこめてお手入れをしてあげましょう。